インタビュー

呼吸器とアレルギー治療を追及するDr.輿石

お年寄りに人気の街として知られる巣鴨。賑やかな巣鴨地蔵通りの一本奥には、昔ながらの閑静な住宅街が広がる。「巣鴨こし石クリニック(旧称:緒方医院)」は、そんな地で100年ほどの歴史を持つ、老舗のクリニックだ。3代目として診療を行っている輿石義彦院長は、長年にわたり、呼吸器外科医として、大学病院や総合病院で数えきれないほどの患者と向き合ってきたベテラン医師。専門性を活かしながら、開業医として街の人々の健康を見守る院長に、その想いをうかがった。

—先生は、大きな病院で長く勤務医をされていらっしゃったのですね。

ええ、医者になってから58歳まで、大学病院や総合病院に勤務していました。医師としてのキャリアは、総合内科医からスタートし、その後外科医に、そして最終的には呼吸器外科医になりました。

—巣鴨こし石クリニック(旧称:緒方医院)を継ぐことになったのは、どのような経緯だったのでしょう。

緒方医院は、母方の祖父が開業し、その後おじが2代目として後を継いでいました。おじから「3代目に」との話があったときは、正直言って迷いましたね。というのも、私自身は、ずっと勤務医のまま定年を迎えるつもりでいたからです。しかし、その当時勤務していたのは静岡の病院で、東京から毎日通うのもちょっと大変でしたので、開業医として再スタートを切る道を選びました。

—勤務医と開業医とでは、仕事内容も異なりますよね。

大きな病院にはいろいろな部署があるので、仕事も分業されています。しかし開業医となると、診療だけではなく、医療機器のことから経営のことまですべてタッチしなければいけません。ですから最初はとても大変でした。

しかし、開業医としてスタートしてみると、やろうと思えば検査もできるし、ある程度のことはカバーできることがわかってきました。昔は、内科系の開業医といえば聴診器1本で、というイメージがありましたが、今はレントゲンもデジタルで見ることができますし、血液検査なども検査用機器を導入したので、結果がすぐに出ます。最初の1年は、あまり自分のカラーを出さず、従来の患者さんにじっくり向き合うといったスタンスでやってきましたが、少しずつ自分の専門を活かした診療にシフトし、院内のリニューアルもすすめていきました。
長く緒方医院に通ってくださっていた患者さんたちは、最初は「違う先生になったの?」と戸惑うこともあったと思いますが、ありがたいことに、ほとんどの患者さんが、代がかわっても変わることなく通ってくださっています。また2年目ぐらいからは、新規の患者さんも増えました。最初はお子さんを連れてきて、次は自分が、それから親を、という流れで、3世代で通ってくださる方も多いですね。

—勤務医としての長い経験は、どのような場で役に立っていますか。

勤務医としての呼吸器外科医の仕事内容は病院によって異なり、呼吸器内科で診断を受けた患者さんに対し、外科的処置つまり手術のみを主に行う場合と、診断から手術、術後のケアまで行う場合があります。私は後者でしたので、呼吸器全般に携わることができました。こうした経験は、開業医となってからとても役に立っています。

また、大きな病院には、本当にさまざまな症状の患者さんがいらっしゃいますから、幅広い症例に対応してきたことも非常に役立っていますね。医局にいると自分の仕事だけではなく、症例や治療法についてたくさん情報が入ってきますので、視野も広がります。こうして引き出しを多くしておくと、たとえば患者さんが発熱や腹痛を訴えてきたときも、ただの風邪や腹痛とは違うのではないか、という視点を持つことができます。さらに私は外科医でもありましたから、内科的な観点だけではなく、外科的な観点で症状をとらえることができます。心配なときはすぐに血液検査やレントゲンでチェックをして、必要であれば勤務医時代の人脈を活かして、大きな病院にすぐに紹介できるのも、勤務医を長く続けてきたからこそできることかもしれませんね。

—今後は、呼吸器とアレルギー分野の診断・治療にも、もっと力を入れていかれる、と。

呼吸器がもともとの専門ですから、ぜひ地域の皆さまのお役に立ちたいと思っています。考えてみると、呼吸器疾患というのはとても幅が広いんです。ぜんそくだけではなく、風邪などの感染症、喫煙による慢性疾患、最近よく聞くせきぜんそくもそうですね。また、ぜんそくはアレルギーのひとつの症状でもありますから、アレルギーとも関連づけてしっかりと診断・治療をしていきたいと思っています。

内科の開業医というのは、いわゆる街のお医者さんですから、何にでも対応しますが、専門分野があると、その分野に対して、より専門的に診断し、治療することができます。専門の治療を受けようとすると、どうしても大きな病院に、と考えてしまう方が多いと思いますが、時間をかけて遠くの病院に行くのは大変ですよね。そんなときにこそ当院を頼っていただきたいと思います。

—「緒方医院」から「巣鴨こし石クリニック」へ

2016年9月1日、「緒方医院」という病院名から、私の名前である「輿石」を使用した「巣鴨こし石クリニック」に変わりました。
名前は変わりましても、これまで通り患者さんとしっかりコミュニケーションをとりながら、診断・治療をすすめていくスタンスは変わりません。そのうえでさらに、呼吸器やアレルギー疾患についてもご相談いただける「街のなかの専門医院」として、安心の医療を提供してまいります。

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